カルチャーフィットを採用要件に組み込むコツ「組織文化」の言語化術

「この人こそ、うちの団体にぴったりだ!」と確信し採用したものの、その後うまくいかなかった経験はありませんか?逆に「スキルや経験が突出しているわけではないけれど、組織の中で驚くほど活躍している」というケースもあるかもしれません。この違いはどこから生まれるのでしょうか?

それを紐解く1つの鍵が「カルチャーマッチ」。いま多くのソーシャルセクターの採用担当者が重視しているこの要素ですが、実はまだ曖昧なまま採用に活かされている組織も少なくありません。

そんな課題解決のヒントを探るべく、DRIVEキャリアでは7月2日にオンライン勉強会を開催しました。「末永く活躍する仲間を採用するポイントを学ぶ」をテーマに、具体的な事例をもとに組織文化の言語化と採用基準の整理方法を取り上げました。

なぜ「組織のカルチャー」を言語化する必要があるのか?

面接の場で「この人、うちっぽい!」と直感で感じたことはありませんか?あるいは、スキルや経験は申し分ないけれど「何かが違う」と感じて悩んだこともあるかもしれません。このような曖昧な感覚を具体的な言葉で定義できないまま進めると、採用後にミスマッチが生まれる可能性があります。

しかしこうした「カルチャーの感覚」は、実はすでに組織内に存在しているものです。それを言語化することで、採用の精度が上がり、長く活躍できる仲間との出会いが増えるのです。

今回の勉強会では、アート集団「チームラボ」で採用のプロセスを築き、多様な組織で支援をされている長谷川亮祐さんをゲストにお迎えしました。そして、NPO法人かものはしプロジェクトさんの実例から「カルチャー」と「採用基準」を具体化するプロセスを学びました。

採用基準の精度を高めるための実践的な問いかけ

長谷川さんは、採用の精度を高めるために考えておきたい問いをいくつか挙げてくださいました。この問いを通じて、自団体にとって本当に必要な人材像がより鮮明になっていくはずです。一部をご紹介します。

1.カルチャーフィットについてどんな問題があるのか?
例えば、ミッションへの共感だけだと、入職後に業務の進め方・価値観で意見が合わないことがある。採用時に、自団体のカルチャーと親和性があるかどうかを見極めることが大事だと考えている、など。採用に関わる担当者間で課題の共通認識をもつこと。

2.自団体のカルチャーを言葉にするとどんな感じか?
どのような特徴を持つ人が「フィットしている」と感じるのか?それが組織全体でどんな言葉として共有されているか?具体的に言葉にするとどんな感じかを出し合う。

3.過去の成功・失敗実例は何か?
自社で活躍できた人材とそうでなかった人材の違いを具体的に分析してみる。

こうした問いに真剣に向き合うことで、採用基準が組織全体で共有され、ブレない採用基準を構築できます。

特に失敗した事例は、採用の役割を担う特定メンバーのなかだけでも良いので振り返ることが重要です。うまく行かなかった事例はなかなか口に出しにくいものですが、採用した人の個人側の問題もあれば、受け入れがうまく行かなかった組織側の課題も、その両方がある可能性があります。カルチャーからは少し離れてしまうかもしれませんが丁寧に振り返る価値はあると思います。

成功する採用活動のヒント:具体的な議論で解像度を上げる

過去の採用の成功・失敗事例を振り返る際、抽象的な議論では曖昧な認識しか得られません。「どのような人物がフィットしていたのか?」という議論を、具体的な人物名(バイネーム)を挙げながら組織内で共有していくことで、より明確な基準が浮かび上がってきます。

例えば、「この人は業務遂行能力が高いだけでなく、議論の場で新しい視点を持ち込むことで組織に活気をもたらしてくれた」といった特性を具体的にメンバー間で認識することで、採用基準が形作られていきます。

このプロセスを経ることで、「採用したい人材像」の精度が圧倒的に向上し、理想の仲間との出会いもぐっと近づいてきます。

今回の勉強会は、かものはしプロジェクトさんの事例を扱いましたが、ソーシャルセクター特有の採用課題に直面している皆さまにとっても具体的に役立つヒントが得られる場となりました。ぜひ、皆さまもこれを機に「カルチャーマッチ」を採用基準に落とし込むことを進めてみてください。

今後もより良い仲間と出会い、組織を大きく育むための勉強会を開催してまいります。ご関心のある方はぜひこのメルマガをチェックしておいてください。これからも共に採用力を高める取り組みを進めていきましょう!