進化型経営(ティール組織)の実践

何を目指しているか

私たちETIC.は「一人ひとりの起業家精神が発揮され、共創が生まれる組織」を目指して進化型経営(ティール組織)の実践に取り組んでいます。このチャレンジは、他の組織に対しても進化のヒントを提供しうる社会実験であるとも願っています。

なぜこのテーマに取り組むのか

ETIC.は、1993年の活動開始以来、実践型インターンシップや起業支援プログラムを通して、1,600人以上の起業家を輩出、9,700人の学生・社会人を支援してきました。また、多くのパートナーと協働し、挑戦が育まれるエコシステムづくりにも取り組んできました。

活動の広がりとともに、組織の規模も成長しました。2023年時点では、常勤スタッフ約50名、パートタイムスタッフも含めると100名を超える組織になっていますが、2010年代の中頃から、スタッフ一人ひとりの起業家精神の発揮を妨げる「成長痛」に悩まされる場面が増えていました。

「一人ひとりの起業家精神が発揮され、共創が生まれる組織をどう作るか」という問いを持って、2018年に組織改革をはじめました。当時出版された「ティール組織」の考え方も参考に、時間をかけて制度面・文化面の変革を実施し、2021年6月1日に、ピラミッド型から自律分散型への組織構造の転換をはじめとする、組織体制の変更を行いました。

何をしているのか

現在、以下の運営方針で、事業および組織をマネジメントしています。

■事業について
組織全体で目標と戦略を定め、それに従って各部門が事業を進めていくという、多くの組織で一般的なスタイルをETIC.では採用していません。事業展開の指針として、3つの方針をスタッフ間で共有しています。
1)スタッフ一人ひとりの多様な思いや能力が最大限発揮されることを重視する
2)ステークホルダーとの共創を通して、挑戦を育むエコシステムを豊かにする
3)エコシステムの力を活かして、より大きな変化や新たな創発を生み出していく

この3つの方針とともに創発的に活動を進めることでインパクトを最大化する。あえて言えば、これが戦略・方針です。

■組織について
「組織マネジメントは経営者・管理職の仕事」という一般的な慣習に囚われることなく、あくまで役割の一つと捉え、適材適所や多様なメンバーの参画を重視しています。
結果として、報酬制度の改革や、マネジメントサイクルの改善、パンデミックやリモートワークへの対応など様々な課題に柔軟かつ迅速に対応することができました。事業創造に強みがあったメンバーが組織マネジメントの仕事から解放され、事業に集中できていることも大きな成果です。
日常の経営的な意思決定は、自主経営会議で行われます。参加メンバーは各部門から代表者を募りますが、誰でも参加が可能で、議事録や資料もスタッフ全員に公開されます。

今後の具体的なプラン

数年が経過したいま、変革はまだまだ途上であるものの、一定の手応えを得ています。組織でメンバーの思いや問題意識を起点とした様々なチャレンジが生まれるようになりました。一人ひとりが経営に対する当事者意識を持った結果、様々な経営課題にも柔軟に対処できており、財務面での安定性も強固になっています。

私たちは、この変革はETIC.にとって必要なものであると同時に、他の組織に対して進化のヒントを提供しうる社会実験でもありたいと願っています。

実際に、私たちの新しい組織運営に関心を持っている方は多く、成功だけでなく失敗も含めて、広く社会と共有していきたいと考えています。変革の取り組みについては以下の記事もご参照ください。

【長編版】ティールとともに歩んできた組織変革。ETIC.らしい進化の旅路へ──宮城治男×嘉村賢州(2021/05/24)
https://drive.media/posts/30191

「待ったなし」で組織の変化に向き合う時…痛みからの始まり―自主経営で変わるETIC.のマネジメント【1】(2023/06/23)
https://drive.media/posts/36843

「ティール組織」との出会い。期待と裏切りのループからの脱却にむけてー自主経営で変わるETIC.のマネジメント【2】(2023/06/23)
https://drive.media/posts/36858
※引き続き数本の記事を掲載準備中

担当メッセージ

多くの組織を支援していく中で、「思いと能力を持ったメンバーが集まっているのに、うまく力を発揮してもらえていない」という悩みに出会うことは本当に多く、そしてETIC.も同様の状況でした。まずは自分たちがこの課題を突破することが、他の組織の貢献にもつながるとの思いで日々取り組んでいます。 さらには、特定のリーダーに経営を委ねるのではなく、一人ひとりが役割を持ち、リーダーシップを発揮していくという運営システムは、私たちが実現したい社会システムの姿にも重なると考えています。