ETIC.Letter2026年8月26日号『熊本地震から1カ月。被災地は何を必要としているか?緊急支援のいま』を発行しました

熊本地震から1カ月。被災地は何を必要としているか?緊急支援のいま

いつもETIC.の取り組みにご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。

本日は、私たちが全国の仲間とともに立ち上げた「新しい災害支援の仕組み(新法人設立)」のご報告と、先月発生した熊本県での地震を受けて、すでに現地で始まっている「命と暮らしを守る緊急支援活動」のリアルな現場レポートをお届けします。

制度のすき間を埋める「チャレコミ災害支援ネットワーク」を設立しました。

2026年4月30日、私たちは全国の地域のリーダーたちと共に「一般社団法人チャレコミ災害支援ネットワーク」を設立いたしました。

「チャレコミ(チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト)」とは、全国の地域の挑戦を支えるまちづくり団体が集う、日本最大級のネットワークです。私たちは2022年から「災害支援会員制度(SSF)」をスタートし、これまでに全国7地域へ16人の人材派遣や407万円の初動資金支援を行ってきました。

この活動を通じて私たちが痛烈に感じたのは「普段からその土地に根ざし、住民と信頼関係を築いている地域の団体こそが、被災時に一番早く、本当に求められている支援を届けられる」ということです。

公的な支援だけではどうしても届けにくい、後回しになってしまう「制度のすき間の困りごと」があります。そうした小さな、けれど、切実なSOSを救い上げるため、地域のコミュニティ財団や行政機関と連携する「新しい災害支援のインフラ」として、今回の新法人を立ち上げました。監事には長野県みらい基金の高橋さんを迎え、日常からの備えをより強固なものにしていきます。

▼法人設立にあたって活動をリードしてきたETIC.コーディネーター瀬沼希望 インタビュー記事も公開しました。

熊本での地震発生と、迅速な支援始動

新法人設立からわずか3カ月が過ぎた2026年7月28日、熊本県において大規模な地震が発生いたしました。被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

「有事の際、現地のプレイヤーが資金や運営面の懸念なく、迅速に被災者へ寄り添える環境をつくる」という新設立の目的を実現するため、発足直後の災害支援ネットワークをただちに稼働させました。

地震発生からおよそ1カ月が経過した現在、現地で連携する頼もしいパートナーと共に動き出している支援活動の様子をお伝えします。

【緊急現地レポート】熊本の現場から(2026年8月24日時点)

(1)「顔の見える関係」を活かした、すき間のニーズ調査

熊本や九州で平時から深く活動を共にしてきた、頼もしい4つのローカル団体(フミダス、日添、ムーンベース、横川kito)とすぐに連絡を取り合いました。行政の大きな網の目からこぼれ落ちてしまうような、地域住民の細かな困りごとを現在も調査しています。

例えば八代市やその近郊は、梨の名産地です。しかし、ちょうど収穫を目前に控えていたたくさんの梨が、地震の揺れによって地面に落ちてしまいました。この農家の方々の生業(仕事と暮らし)への深刻な打撃を把握し、落ちてしまった果樹を少しでも活用できないか等、具体的な再起への支援策を検討しています。

(2)【命をつなぐ】長引く断水に、超小型造水機「ロカロカ」を設置

今回の熊本の震災では、各地で「断水の長期化」が深刻な問題となっています。水が出ない避難生活が長く続くと、衛生環境の悪化や体調不良から、避難所で命を落としてしまう「災害関連死」のリスクが格段に高まります。だからこそ、お風呂や洗濯、トイレに使える「生活用水」をしっかり確保することは、今、被災地において極めて重要な命綱です。

私たちはこの課題に対し、心強い協働によって一つのアプローチを届けることができました。

福岡県で小水力発電等のコンサルティングを行っている株式会社リバー・ヴィレッジの村川代表より、山梨大学の西田継教授が開発された超小型造水機「ロカロカ」のご提供のお申し出をいただきました。「ロカロカ」は能登半島地震での現場経験から開発されたもので、水路や池、沢の水を濾過して、持ち運び可能なサイズでどこでも生活用水を作り出せる画期的な装置です。

断水で特に深刻な状況にあった熊本県宇城市の障害者支援施設に対し、福岡県久留米市の「社会福祉法人拓く」のご協力のもと、8月3日に「ロカロカ」の設置を完了いたしました。

この設置をリードした「社会福祉法人拓く」は、ETIC.が休眠預金事業を通じて、平時から一緒に防災や災害支援の仕組みづくりに取り組んできた大切なパートナーです。

(3)ETIC.スタッフも現地入り。八代市・氷川町での支援と調査の継続

皆さまからいただいた大切なご支援をもとに、私たちの活動はさらに一歩深く現地に入り込んでいます。 8月17日からは、ETIC.スタッフ1名が実際に熊本へ現地入りしました。

現在は、熊本県球磨郡五木村を拠点とする「株式会社日添」、「NPO法人いつきつなぎ」の皆さまと連携し、八代市や氷川町などで炊き出しなどの活動をお手伝いしながら、「今、現場で本当に足りていない支援は何か、私たちにできることは何か」を直接肌で感じる調査を続けています。

4)【東北から培ったETIC.の強み】復興リーダーを支える「右腕人材」派遣の準備を開始

私たちは、一時的な物資や資金の提供だけにとどまらず「被災された地域が再び自立し、より良い未来を拓くこと」を目指し、現在、「右腕(みぎうで)派遣プロジェクト」の準備を進めています。 これは、2011年の東日本大震災を機に、2016年の熊本地震、2024年の能登半島地震と、現場で実践し磨き上げてきた「地域の未来を見据えた支援」の仕組みです。これまでに復興に挑むリーダーのもとへ派遣した「右腕」は、累計270名を超えています。
まだ調査段階ですが、以下のようなテーマで右腕人材の派遣をはじめとするサポートを計画中です。

●子育て支援:被災地域での子育て環境の支援や、子育て支援者が休息をとれる仕組み(レスパイトケア)など
●地場産業・一次産業の再建支援:被害を受けた事業者や農家の支援
●観光産業の支援:被災していない熊本市周辺地域での観光業の支援(キャンセルが続き多くのダメージを受けています)

地域が再び立ち上がる、その長い道のりを支え続けるために

被災地が本当の意味で復興を遂げるには、何年もの歳月がかかります。地震直後の混乱が去ったあとも、地域の人々が自分たちの力で立ち上がり、新しい一歩を踏み出し続けられること。これこそが本当の復興であり、そのためには「最初の混乱期に、いかに正確に現地の状況を把握し、寄り添い続けられるか」が、その後の長い復興プロセスの強固な土台になります。

私たちはこれからも、熊本の現地の団体と手を取り合い、一過性ではない、息の長い支援を届けてまいります。皆さまの温かい関心とご支援を、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

▼熊本地震に関する今後の支援活動の様子は、ETIC.ウェブサイト「活動報告」でもレポートいたします。
▼チャレコミ災害支援ネットワーク ホームページ

熊本の被災地支援へ、皆さまのお力添えをお願いいたします

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◆ETIC.SSF災害支援基金プロジェクト 【個人・法人問わず受付 / 継続寄付や銀行振込も選べます】個人・法人どちらも可 / クレジットカード・銀行振込利用可(3,000円~)/ 単発・毎月の継続寄付が選択可 / 領収書発行可

ETIC.(エティック)とは

30年にわたり、企業・行政・NPOの皆さまと協力しながら1800人以上の起業を支援してきました。多様な働き方や地方への移住といった、生き方の選択肢を広げる機会も提供しています。

●ETIC.が取り組むプロジェクト一覧
●スタッフ紹介



熊本の現地に入って1週間。10年前の熊本地震と比べ、今回は初動や他団体との連携が圧倒的に早い感覚があります。ここでは東北や過去の熊本で出会った仲間との再会もあり「顔の見える関係」の強さを実感しています。インフラの復旧技術や地域のつながりも、この10年で格段に進化しました。
一方で、発災から1ヶ月が経ち、緊急期の命を守る支援に尽力された多くの団体が順次現地を後にしていきます。しかし、生活や事業を取り戻す長い「復興期」はここからが本番です。
周囲の関心が薄れ始める時期だからこそ、単に元に戻すだけではない、よりよい地域を描く「創造的な復興」が必要です。私たちはこれまでの経験を活かし、現地事業者さんへのヒアリングや案件組成など、中長期の伴走支援を進めています。まだまだ多くの力が必要です。支援を一過性にせず、ともに歩んでいただけたら嬉しいです。

(NPO法人ETIC. ローカルイノベーション事業部 / 押切真千亜)

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