【ETIC.企業共創メールマガジン】 第6号「協業の組み立て方:社会課題解決と新規事業創出の接点とは?」を発行しました

NPO法人ETIC.より、ETIC.企業共創メールマガジンをお送りします。
2016年以降、民間企業や地方自治体、ローカルベンチャー等、多様なセクターの共創を支援してきた私たちの視点から、新たな価値の創造や社会課題解決に向けた企業共創のヒントとなるような情報をお届けします。


現場の声から「コレクティブインパクト」へ。小さな一歩が未来を拓く協業の組み立て方

どんな社会課題に対し、自分たちはどんな役割を果たすべきか。企業として社会にどんなインパクトを出せるか、ということは常に大きなテーマではないでしょうか。
今日の複雑な社会において、一企業だけでの解決が難しい課題が増える中、パートナーとの協業は、その自分たちの役割を具体化し、大きなインパクトを生み出す鍵となります。
今回、企業としてのパーパスを社会貢献の分野で具現化されている事例として、サントリーホールディングス株式会社CSR推進部長・一木典子様のインタビュー記事をNPO法人ETIC.アニュアルレポートから転載いたします。

広がる貧困・格差に対し、支援機会の少ない10代のエンパワメントをNPOとの協働で目指す。

サントリーホールディングス株式会社 一木典子さん

──「次世代エンパワメント活動“君は未知数”」は10代の子どもや若者を支援する事業・活動ですが、どのような思いが込められているのでしょうか?

子どもに関わる課題も時代とともに変化しています。「子どもの貧困」という言葉は2000年代から聞かれるようになり、2010年半ばで一定の認知が広がりました。そしてここ数年は、不登校の増加など、別の課題も広がっています。10代の子どもや若者たちを取り巻く困難の変化を捉えた対応が求められていますが、支援は、未だ手薄だと言われています。行政だけで迅速に対応しきれない領域に、NPO法人等(以下「NPO」)や企業等、民間の力が必要だと感じます。

──コレクティブインパクトの創出を目指し、多様なパートナーとの共創を志向されています。そのような方向性に至った経緯や、感じている問題意識をお聞かせください。

困難に直面している子ども・若者の分野は、支援側に高度なスキルとマインド、そして長期的な関わりが求められます。そのため、この分野に先駆的・継続的に取り組まれているNPOと協働したいと考え、まずは十数団体へのヒアリングからはじめました。NPOがこれまでに重ねてきた試行錯誤、経験に学ぶことが不可欠だと思ったからです。そうしてヒアリングをする中で、NPOが抱える課題や、つらさを感じている部分が見えてきました。

組織経営という意味では、NPOもスタートアップと変わらず、組織の発展段階に応じた基盤強化への投資が必要です。にもかかわらず、NPOが得られる資金は「受益者に向けた直接的な活動」に充当することが期待されてしまう。組織を運営し、発展させるための人材育成や、事業のインパクトを高めるためのコミュニケーションなどの支出を批判する声も目にしました。しかし、それだけでは、組織の持続性や支援の量・質の拡大は難しい。

また、企業との協働を志向しているNPOが増えているものの、その関係性にも課題を感じました。企業は資金の提供をするものの、各社が個別に実施したい社会貢献活動をNPOが企画運営するものが多く、スタートアップ企業への出資のように、NPOが描くビジョンや戦略の実現、そのためのNPOの発展成長を目指した協働は少ないように思ったのです。逆にそのような協働が生まれれば、よりインパクトを創出できるとも考えました。

──社会課題解決の担い手として、サントリー社員の皆さんの主体性を強く感じました。なぜそのような姿勢で活動できているのでしょうか?

企業としてのカルチャーだと思います。第一次世界大戦後の恐慌下、創業者鳥井信治郎は、「困っている人をだまってみてられまっかいな」と言って、生活困窮者に無料の診療と施薬を行う診療院を開いたり、奨学金の提供を匿名で行うなど、社会福祉活動を熱心に行っていました。
その精神は、「利益三分主義」(事業活動で得たものは、自社への再投資にとどまらず、お客様へのサービス、社会に還元すること)という価値観として、社内に浸透しています。単にお金を出すだけではなく、当事者意識をもって現場に学び、「やってみなはれ」の精神でNPOとともに考え動くことを通して、真に有益な活動にしていきたいとの思いがあります。

──「次世代エンパワメント活動“君は未知数”」の目指していることを教えてください。

子どもたちの可能性は未知数。その可能性を、生まれ育つ環境や状態に関わらず、すべての子どもたちがひらくことのできる社会を実現する。それが私たちの想いです。
そのために、困難に直面している10代の子どもや若者に向け、例えば、自立を急かさず、押し付けず、まずはおもしろいことに出会い、夢中になっていいと思える環境をつくったり、仲間とつながって助け合っていいと思える関係性を築いたり。さらに支援の担い手であるNPOやそこで働く方々が、社会からきちんと評価され、成長するために必要なリソースが地域や社会から供給される。
そんな未来を目指し、協働先や助成先のNPOとともに、関わる人々の幸せ(ウェルビーイング)や地域のあり方をより良くしていけたらと思っています。

協業による、企業の新たな価値

サントリーホールディングス様が取り組む次世代エンパワメント活動「君は未知数」は、「子どもたちが自分の人生に希望を持てる社会をつくる」ことを目指しています。子どもたちを支えるNPO等の活動を後押しする“君は未知数”基金や、NPO等と協働し社会変革をリードするモデルや事例の創出・展開していく協働事業を行っています。
この活動はサントリーで創業者から受け継がれてきた「利益三分主義」(事業活動で得たものを社会に還元するという精神)という価値観や企業のパーパスに基づき、社会と向かい合い、社会変化により、困難に直面する子どもたちが増加する中、子どもが持つ可能性を輝かせるために始められた活動です。
この活動を、自社だけでできるの範囲で行うのではなく、真摯に社会課題と向き合い、課題の実態や背景を解像度高く理解することで、必要なパートナーと協働し、その協働関係から自社の役割や真に必要な取り組みを見出しています。

他者と協業してインパクトを創出する取り組みこそが、企業としての影響力と価値を高めていくという示唆を与えてくれています。


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