【ETIC.企業共創メールマガジン】 第8号「長期的な経営視点を森林から学ぶ」を発行しました

NPO法人ETIC.より、ETIC.企業共創メールマガジンをお送りします。
2016年以降、民間企業や地方自治体、ローカルベンチャー等、多様なセクターの共創を支援してきた私たちの視点から、新たな価値の創造や社会課題解決に向けた企業共創のヒントとなるような情報をお届けします。


求められる長期的な時間軸

企業の現場では、短期的な成果が常に求められます。この積み重ねが企業経営の基盤を支えているのも事実です。しかし現代では、環境や生物多様性の問題、災害やパンデミックの常態化、世界的な人口動態の変化などの課題に直面し、社会や経済基盤の在り方・システムそのものの変化が求められています。
目の前の成果や数字と並行して「50年先、100年先をどう見据えるか」といった不確実な未来に備えた長期的な視点を持つことが、企業経営や企業人にとって益々求められているのではないでしょうか。

長期目線で産業と担い手を育てる町

北海道南西部に位置する人口4,200人の厚真町は、町域の7割が森林を占めます。この町では、林業が盛んだった歴史があるものの、需要の変化・産業構造の変化により、地域の一大産業の衰退、事業者の減少などに直面してきました。この流れの中で課題意識が生まれ、町や町民が積極的に森づくりに関わり、森林資源の持続利用を模索しています。
2016年以降はローカルベンチャースクール事業を通じ、森に携わる新しい担い手を育て、年間5,400万円の経済効果が生まれました。また町内の約280ヘクタールの環境保全林を「人と森の豊かな共生」の場と位置づけ、100年先を見据えた「ありたい姿」として、「持続可能な10億、20億円規模の経済」「住民と森林との関係性を喜ぶ文化」創出を目指しています。

木材を生産するだけでなく多様な価値を生む場と捉え直す

厚真町は林業従事者や製炭事業者、原⽊シイタケの⽣産者など森に関わりながら⽣活している町内事業者がいましたが、ライフスタイルの転換や林業の⼤規模化等により事業者が年々減ってきている状況でした。事業者の減少に伴い、⽊材を加⼯することができなくなり、丸太のまま付加価値をつけずに町外へと販売している状況となっていました。
そこで厚真町は、林業を担う⼈材や⽊材を使う⼈材を誘致・育成し、厚真町で⽣まれる林業事業を、町内の事業体が担い⽊材を加⼯して付加価値をつけてから町外に販売できるようになることを⽬標に、ローカルベンチャースクールなどの施策を組み合わせながら、100年先を見据えた「ありたい姿」を目指して施策を進めてきました。

その動きから生まれた活動のひとつが「ATSUMANOKI96」です。林業家や木工作家、デザイナーなど個性あふれる人たちが全国各地から徐々に集まってきたことに加え、厚真町内に元からある民間の林業会社などがチームとなり、今までの林業にはない価値を生み出していくべく活動が始まります。
例えば通常、木を運ぶためには効率化を重視し重機を入れるために山を削って道をつくりますが、何度も重機が往復することで地盤が崩れたり、生態系に影響を与えます。西埜将世さんは、短期的な効率性ではなく長期的な山の価値や持続性に目を向け、山で伐採した木材を馬に曳かせて搬出する「馬搬(ばはん)」を行います。その丸太を挽いて板にする 「製材」、製材された板から製品を成型する「⽊材加⼯」を町内で行う中川貴之さん。そして町内には木材チップを⽤いて、燻製品の製造・販売を行う山下裕由さん等、多様なメンバーがそれぞれの事業を行いながら町内でサプライチェーンをつなげています。

このような動きや人たちをきっかけに他にも、森林を活用する教育イベント、森をきっかけに厚真町を訪れる関係人口が増え始めました。厚真町が、既存の産業構造の課題に向き合いながら100年後のありたい姿を目指して「事業モデル」「担い手」「育成環境」をデザインした結果、森林が多様な価値を生み出す場として、事業領域が広がってきていると言えます。
短期的な時間軸で見ると非効率かもしれません。一方で長期的な視点で捉えてみると、森と人の生態系を育み、新しい付加価値が拡がっていく可能性が厚真町の事例からも読み取ることができます。

100年単位の視点を体感する学びの機会

森では、一本の苗木が大樹に育つまでにおよそ100年という時間が必要です。
風雪に耐え他の生命と共生しながら成長する姿は、人間社会の時間感覚とはまるで違います。社会も森と同様に相互に関わり合い、全体として機能しています。100年といったような長期的な視点で捉えることは、厚真町の事例にもあるように全体の持続的な成長を支えることに加え、経営リスク管理にも寄与するのではないでしょうか。

こうした100年の視点を身をもって体験し落とし込む研修が2025年11月19日〜20日に北海道厚真町で開催されます。研修では森に入り、馬搬の現場を歩き、ATSUMANOKI96のプレイヤーと実践や葛藤について対話しながら、森林の時間軸を体験します。時間軸の捉え方が異なる現場に身を置くことで、思考プロセスや価値創造のヒントを体感をもって得ることを目的としています。ぜひ、ご関心のある方はお問い合わせ、お申込みください。

◆開催概要:https://note.com/atsumanoki96/n/ne0f6f41ee7f0
◆申込フォーム:https://forms.gle/nu2HnS5qgWmi9B8c9
日程:2025年11月19日(水)〜20日(木) 1泊2日
場所:北海道勇払郡厚真町(新千歳空港から車で30分)
定員:8名(モニター募集)
参加費:35,000円(税別)※宿泊費・夕朝食込み
申込締切:2025年10月31日(金)


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