ナレッジ・ノウハウ
カルチャーフィットを採用要件に組み込むコツ「組織文化」の言語化術
10月17日にソーシャルセクターの採用担当者のみなさんと「人の見極めどうしてる?!ミスマッチが起きにくい選考を考える」というテーマで勉強会を実施しました。参加者の皆さんの事前アンケートで集めた各団体の工夫や事例なども持ち寄り、ディスカッションをしたので、そのエッセンスをみなさんとも少し共有したいと思います。今回はおもに2つの課題を取り扱いました。
社会課題解決を目指して活動する中で、どうしても一時的に立てこんだり、スタッフにストレスがかかってしまう状況が生まれてしまうことがある。
そのような状況でも仲間とうまく乗り切る耐性・適性があるかどうかは、面接の場の会話では見極めにくい。人となりを深く知る工夫として、2~3日共に過ごす滞在型のプログラムに参加していただくなど、面接以外の機会も作っているが、その場でコミュニケーションスタイルや考え方は知ることができても、ストレス耐性はその場でも見えにくい。
組織として大事にしたいこと。例えば「主体性」や「当事者に対する支援観」など、面接で丁寧な確認や理解を促すやりとりをしていても、実際の現場に入っていただくと、面接で言っていたことと行動が伴っていなかったり、そのせいで他の支援者やスタッフとの信頼関係が築きにくく、入職後にアンマッチに気づいてしまうことがある。面接以外でも文章を書いてもらったり、価値観を深く知る機会もつくっているが、そのプロセスではアンマッチの片鱗が見えない場合が多い。

参加者の皆さんからは、具体的な診断ツールや、選考時の工夫なども情報交換をしたのですが、どちらも「課題は選考の場だけではないのかも」という感想が出てきたことが、大変興味深かったです。
課題1の「ストレス耐性」についても、もちろん事前の見極めも大事ではあるものの、入職後にいかにチーム内でお互い余裕のない中でフォローし、助け合える関係と環境をつくることができるかが大事だという話題に発展していきました。
ストレングスファインダーや、DiSC、エニアグラムなど、ツールも活用しながら、自分自身やメンバーの特性を理解し、陥りやすそうな状況や、お互いどう強みを生かせるかをコミュニケーションしたり、声をかけあうことで、関係性やチームの強さが変わっていくということを体感しているという声がいくつかあがってきました。
また、課題2の価値観アンマッチについては、「面接」というお互いを評価する場でのコミュニケーションの難しさがあがりました。出会い方や、選考プロセスの中であっても機会の建付けの工夫をすることで、人間として対話ができる機会がつくれると、深く知り合うことができ、お互いの相性を判断しやすくなるのではないかという話につながっていきました。
ソーシャルセクターは、一般企業よりも、価値観や活動内容を外から知ってもらうことに時間がかかるのは共通の特徴だと思います。なぜなら、未来への強いビジョンをもちながら、特定のイシューに対してオンリーワンな取組を推進している団体ばかりだからです。だからこそ、自分たちをどう分かってもらうのかに知恵と時間をかけることは、とても大切であり、その後に活躍してくれる仲間に出会うために必要不可欠であるのだと改めて感じる時間でした。
選考の場において、「お互いジャッジする場」という関係性からどう脱することができるかも大きいように思います。互いに良く見せるのではなく、深く理解しあうことを場のゴールにできると、時間の密度が変わりそうです。
とはいえ、日々の業務に追われる中で、かけられる時間に限界もあるので、いかに効果的な打ち手があるか、これからもみなさんと情報交換をしながら、一緒に行動の質をあげていけるとうれしいです。